(2025年6月号掲載)
スポーツに積極的に取り組んでいる高校生の中には、大学でもアスリートとしての活動を希望する学生が数多くいます。アメリカは世界で最も大学スポーツが盛んな国であり、アメリカの大学は、学生アスリートをアドミッションで高く評価します。そして、大学進学後も学業とスポーツを両立できるように、積極的に支援しています。
3段階に分かれる大学スポーツ
大学スポーツでは、プロやオリンピックを目指す選手が注目されますが、大学でプレーしているのは、そのようなスーパーアスリートだけではありません。アメリカの大学スポーツを統括するNCAAのアスリートで、プロになるのは2%未満と言われています。つまり、学生アスリートのほとんどは、卒業後はスポーツとは異なる分野でキャリアアップを目指すことになります。
アメリカの大学スポーツは、さまざまなレベルの学生アスリートに活躍の場を与えています。NCAAはIからIIIのディビジョンに分かれ、一般的には規模が大きくスポーツに力を入れている大学がディビジョンI、小規模でアカデミック重視の大学がディビジョンIII、その中間がディビジョンIIに属しています。ディビジョンIのチームが最も強いとは限らず、ディビジョンIIIでも強豪チームを持つ大学はあります。
審査や学費で優遇されるアスリート
アメリカの大学は、高校でスポーツに取り組み、大学でもスポーツを続ける学生を高く評価します。学業とスポーツを両立させようと努力する学生は、人間として大きく成長できるということが理由の一つです。スポーツに取り組むことで、チームワークやリーダーシップの経験が自然と身に付きます。また、学業とスポーツの両立のために習得した「自律」や「時間管理」などの能力は、大学生活だけでなく、社会に出てからも大いに役立ちます。
名門大学への進学は狭き門ですが、大学チームのコーチから能力を評価されたら、アドミッションで有利になります。合格しやすくなるだけでなく、学費でも優遇されます。ディビジョンIとIIの大学ではアスリートのための奨学金制度(スポーツ奨学金)があります。ディビジョンIIIの大学にスポーツ奨学金はありませんが、その代わりにメリット・スカラシップでアスリートとしての評価が加えられます。つまり、トップアスリートではなくても、その大学で活躍できる能力があると評価してもらえれば、有利な学費で進学が可能となります。
大学へのリクルーティング対策
大学のコーチにリクルートされることが、NCAAアスリートへの第一歩です。全米の高校でアスリートとして活動している800万人のうちNCAAのアスリートになれるのは6%です。そこに入るには大学のコーチからリクルートされる必要があります。そのためには自ら売り込まなければなりません。何もしなくても声がかかるのは、ごく一部のトップアスリートだけで、大半の学生は自らコーチに連絡を取ります。
大学からリクルートされるには、自分に合うチームを見極めることが重要なポイントです。競技のレベルはディビジョンやチームにより大きく異なります。自分のスキルやプレースタイルに合う大学、つまり自分が活躍できるチームと巡り合うことが、アスリートとしての進学を成功に導く秘訣です。
どの大学のチームが自分に合うかを判断するのは難しいので、最初はなるべく多くの大学に連絡を取りましょう。100校を目標に大学チームのヘッドコーチ宛にメールを送ることをお勧めします。コーチ宛のメールでは、アスリートとしての成果、成績を示すと共に、自分がプレーしている動画のリンクも載せると良いでしょう。
大学のコーチには、高校の成績や、ACT・SATのスコア、大学で学びたい専攻など、学業についても伝えます。コーチにとってアスリートとしての能力はもちろん、学力面でリクルート可能な学生かどうかの判断も極めて重要です。
大学のコーチからリクルートの対象者に選ばれると、アスリートとしての入学審査の対象となります。学生アスリートとして入学審査を受ける場合でも、一般の学生と同じようにアプリケーションの提出が求められます。入学審査を無事通過すると、学生アスリートとしての進学が認められます。
(2025年6月号掲載)
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