歴史で巡るコロラド

ライトハウス電子版アプリ、始めました
アメリカでキャンピングカーの旅

グレンウッドスプリングスの町を見下ろす、山頂からの景色。

ロッキー山脈の麓、コロラド州の州都デンバーまでは、ロサンゼルスから約2時間半のフライト。デンバーの人口は約70万人で、全米で19番目(2020年の国勢調査より)。デンバーは、1858年にロッキー山脈で金が発見されたことで、コロラド・ゴールドラッシュの中心地となり大きくなった町で、小さなマイニングタウンから大都市となった全米初の場所と言われています。今回は、そんなデンバーとその周辺の見所を、歴史になぞらえながらご紹介します。

※このページは「ライトハウス・ロサンゼルス版2022年5月16日号」掲載の情報を基に作成しています。最新の情報と異なる場合があります。あらかじめご了承ください。

ナビゲートしてくれるのは…

ナビゲーター

芦刈いづみさん (写真右・本文執筆)
メディア&PR会社Seven Seas Media代表。ライターとしてアメリカの文化や旅の情報も執筆。
Web:
7seas-discovery.com
 
Tak S. Itomiさん (写真左・撮影)
Tak S. Itomi Photography and Design代表。フォトグラファー。旅を通して出会った風景、人々、文化に関する講演活動などにも携わる。
taksitomi.com
写真:TAK ITOMI

ゴールドラッシュに沸いた州都デンバーへ。
ここにしかない赤岩のステージもお見逃しなく!

デンバーの地図

01. 全米で唯一、レッドロックに囲まれた野外音楽堂

Red Rocks Park & Amphitheatre

ロッキーマウンテンで金が発見されたのとほぼ同時期に、近くで銀も発見され、空前のゴールドラッシュで沸くこの地には人々が押し寄せ、デンバーは急速に大きくなっていきました。当然、その人々が楽しむための娯楽施設が続々と登場。その一つが、全米でもここにしかない赤岩に囲まれた迫力のあるステージ、「Red Rocks Amphitheatre」。元々ここにはネイティブアメリカンが住んでいて、この景観に目を付けた実業家のJohn Brisben Walker氏が、この場所にシアターを作ることを思い付き、購入。1906年に最初のコンサートが行われました。
 
その後、デンバー市がこの土地を買い取り、1941年にステージが完成。1964年には、なんとビートルズもここでコンサートを実施しました。現在でもこの場所は、コロラドを代表する野外音楽堂として迫力の景観で観客を楽しませています。イベント以外の日でも、自由に入場が可能で、市民が集まる憩いの場や、ハイキングやエクササイズを共に楽しむ場として、大きな賑わいを見せています。

Red Rocks Park & Amphitheatre
☎720-865-2494
18300 W. Alameda Pkwy., Morrison
Web: https://www.redrocksonline.com/

02. デンバーを知るには、州議会議事堂へ!

Colorado State Capitol

いざ、州の中心地へ!

ゴールドラッシュで繁栄した町の象徴として金メッキが施されているコロラド州の州議事堂は、デンバー有数の観光地。議事堂内は自由に見学でき、州議会室に入ったり、最上階の展望台から街を眺めたりすることができます。州議事堂は、街の中心でもあるシビックセンターパーク内に位置し、他には、市庁舎、デンバーセントラルライブラリー、コロラド歴史博物館などもあります。

Colorado State Capitol
200 E. Colfax Ave., Denver
Web: https://capitol.colorado.gov/

03. 500点もの剥製に囲まれて、ユニークなお肉の数々が楽しめる!

The Buckhorn Exchange

The Buckhorn Exchange

デンバーで最も古いレストラン!

ゴールドラッシュから始まったデンバーの町に、1893年、「The Buckhorn Exchange」というレストランがオープン。お店は、リオグランデ鉄道の駅が近く、そこで働く人々や旅をする人々が立ち寄る有名店となりました。元々ハンティングが趣味だったオーナーの Henry H. Zietz氏は、1905年にやってきたルーズベルト大統領と意気投合。その後、ハンティングのパートナーとして、共にコロラド州各地に狩猟に出かけるようになりました。穫った獲物は剥製にされ、今も店内に飾られています。その数なんと約500点。店内はカウボーイの集まるサルーンの雰囲気で、一際目立つ場所に飾られた剥製はルーズベルト大統領本人が捕ってきたもの。

The Buckhorn Exchange

うずら、コーニッシュ、ダックの鳥3段重ね!

そして、このレストランのもう一つの特徴は、牛、豚、鳥などの普段口にする肉以外に、鹿やうずら、バッファロー、ワニなどの珍しい肉も食べられること。特別な日のディナーに最適なお店で、今も人気が絶えません。

The Buckhorn Exchange
☎303-534-9505
1000 Osage St., Denver
Web: https://www.buckhorn.com/

04. タイタニックの生存者が遺品をコレクション!

Molly Brown House Museum

タイタニックの遺品に負けず家の装飾品も豪華!
The Buckhorn Exchange

州議会議事堂やシビックセンターパークから徒歩約10分。タイタニック号の生存者、モリー・ブラウン女史が、生還後タイタニック関連の資料を集めて自身の家に展示公開した「Molly Brown House Museum」があります。

The Buckhorn Exchange

ここでは、豪華絢爛だったタイタニック号に装飾されていたデコレーションや食器、衣服、当時の新聞などを見ることができます。元々女性活動家だった彼女は、タイタニックの生存者の女性たちを助けることに尽力した人物で、1997年の映画『タイタニック』では、主役のジャックを何度も助ける人物として登場します。

Molly Brown House Museum
☎303-832-4092
1340 Pennsylvania St., Denver
Web: https://mollybrown.org/

05. Stanley Marketplace

The Buckhorn Exchange

元Stanley Aviationのビルをマーケットにリノベーション。ショップやカフェ、レストラン、ベーカリー、ブックストアなど約50店舗が軒を連ねています。随所に見られる飛行機にまつわるデコレーションも必見!

Stanley Marketplace
☎720-990-6743
2501 N. Dallas St., Aurora
Web: https://www.stanleymarketplace.com/

06. REI Denver Flagship

The Buckhorn Exchange

LA周辺店舗の約10倍はあろうかというサイズのアウトドアショップ「REI」。商品のセレクションが幅広く、LAでは見たことのないブランドの商品もたくさん。巨大クライミングウォールや子ども用の屋内プレイグラウンドもあります。

REI Denver Flagship
☎303-756-3100
1416 Platte St., Denver
Web: https://www.rei.com/stores/denver

07. Denver Art Museum

The Buckhorn Exchange

1893年に設立されたミュージアム。シカゴから西では最大のミュージアムで、約7万点を超えるコレクションが所蔵されています。中でもネイティブアメリカンのアートコレクションは、世界トップクラス。

Denver Art Museum
☎720-865-5000
100 W. 14th Ave. Pkwy., Denver
Web: https://www.denverartmuseum.org/

ロッキーマウンテン国立公園とその周辺の町、エステスパーク&ボルダー

ロッキーマウンテン国立公園とその周辺の地図

01. コロラドロッキーを絶景ドライブ!

Rocky Mountain National Park(Alpine Visitor Center)

The Buckhorn Exchange

冬でもオープンしているBear Lakeトレイルは、1周0.6マイル。子どもからお年寄りまで楽しめます。

最寄りの町・エステスパークからロッキーマウンテン国立公園の入り口までは約10分。夏は、エステスパーク側から南西のグランドレイクに抜けるTrail Ridge Road (地図A)のドライブがベストルート。この道の最高地点は、標高約3700メートル。道沿いには、たくさんのビューポイントがあり、好きな所に車を停めて、ロッキーマウンテンの山々の撮影を。特に最高地点近くにあるAlpine Visitor Center(地図B) からの眺めは外せません。

The Buckhorn Exchange

ロッキーマウンテンの醍醐味は、たくさんのトレイルを歩くこと。

ベストシーズンは、全ての道がオープンする初夏(メモリアルウィークエンド以降)。野生動物との遭遇も珍しくありません。冬期は、雪のためエステスパーク周辺のみオープンしています。国立公園のレンジャーによると、簡単なトレイルも多く、通年オープンしているエリアで特にお勧めはBear Lake (地図C)。1周約1キロメートルのループトレイルで、高低差もあまりなく気軽に歩くことができます。

Rocky Mountain National Park(Alpine Visitor Center)
☎970-586-1222
Trail Ridge Rd., Grand Lake
Web: https://www.nps.gov/romo/index.htm<

02. 自動車会社スタンレーのオーナー、コロラドにホテルを建てる!

The Stanley Hotel

The Buckhorn Exchange

野外音楽堂の一件以来すっかりデンバーが気に入った実業家のJohn氏。その友人で、デンバー郊外のカーショップ、スタンレーモーターのオーナー、 Freelan Oscar Stanley氏が結核を患った際には、デンバーでの療養を勧めます。しかし期待とは裏腹にあまり病気の改善が見られず、彼は、ロッキーマウンテンの入口の町エステスパークで、夏を過ごすことにしました。当時、結核を治すには、きれいで乾いた空気が一番良いとされていたためです。夏の終わりには体調が改善され、この場所が気に入り、自分のリトリート場所を兼ねて、1909年に高級ホテル「The Stanley Hotel」を完成させました。現在築110年を超えるコロニアル様式のこの建物は、ホーンテッドホテルとしても有名で、夜のホテルツアーはゴーストに遭遇するかもと期待する人が多く大人気です。

The Buckhorn Exchange

またStanley氏は、ロッキーマウンテンが国立公園として登録されるためにも尽力。ロッキーマウンテンは1915年、アメリカで10番目の国立公園として登録されました。

The Stanley Hotel
☎ 970-577-4000
333 Wonderview Ave., Estes Park
Web: https://www.stanleyhotel.com/

03. “The Republic of Tea”=ボルダー

Boulder Dushanbe Teahouse

The Buckhorn Exchange

店員さんおすすめ!「Tajikistan Plov」。

意外かもしれませんが、ロッキーマウンテンはハーブの産地としても有名で、周辺にはここで採れるハーブを使ったティーファクトリーやショップがたくさんあります。中でもロッキーマウンテンとデンバーの中間に位置するボルダーは、小さい町ながらティーショップが約10軒あり、別名“The Republic of Tea”とも呼ばれています。

The Buckhorn Exchange

“Monkey Picked”(猿が高い木の上から取った)と愛称の付いた烏龍茶。

もとはロッキーマウンテンで採れるハーブを使ってビジネスを始め、世界から茶葉を輸入し、自社でブレンド。現在ではそれを世界に輸出しているファクトリーも多数あります。中でも、「Boulder Dushanbe Teahouse」 は、姉妹都市であるタジキスタン共和国から寄贈されたティーハウスの建物の中で、世界中のお茶とフードが楽しめるレストランとして有名です。

The Buckhorn Exchange

街から車で約5分のChautauqua Park。本格的なトレイルに入れます。

また、標高約1650メートル地点にあるボルダーは、マラソン選手の高地トレーニングやアウトドアのメッカとしても知られており、至る所にトレイルヘッドやトレイルの看板があります。

Boulder Dushanbe Teahouse
☎303-442-4993
1770 13th St., Boulder
Web: https://www.boulderteahouse.com/

04. Colorado Cherry Company at the Stanley Hotel

The Buckhorn Exchange

チェリーパイ、チェリーサイダー、チェリージャム、チェリーサルサなどが楽しめるチェリー専門店。Stanley Hotel内に店舗を設けているほか、ボルダーとエステスパークの間に本店があり、より多くの種類の商品が販売されています。

Colorado Cherry Company at the Stanley Hotel
☎303-823-2324
333 Wonderview Ave., Estes Park
Web: https://www.coloradocherrycompany.com/ccc-at-the-stanley

05. Savvy on Pearl

The Buckhorn Exchange

オーナーこだわりのグッズが並ぶセレクトショップ。中でもローカルのコロラドグッズのセレクションが豊富で、コロラドをコンセプトにした帽子だけで約200点もあり。コロラドベースのアウトドアブランドの商品も手に入り、お土産を買うには最適なお店です。

Savvy on Pearl
☎303-440-3989
1114 Pearl St., Boulder
Web: https://savvythreads303.com/

06. Boulder Public Library

The Buckhorn Exchange

ボルダーには、町中にアウトドアで遊べる場所がたくさんあります。ライブラリーには、プレイグラウンドが併設。その前の川沿いにはトレイルが敷かれ、夏は川でウォーターアクティビティーも楽しめます。

Boulder Public Library
☎303-441-3100
1001 Arapahoe Ave., Boulder
Web: https://boulderlibrary.org/

温泉の町・グレンウッドスプリングス。
山頂のアミューズメントパークも必見!

グレンウッドスプリングスの地図

01. コロラドの一大温泉リゾート、Glenwood Springs

Glenwood Springs

The Buckhorn Exchange

世界最大の温泉プールはこちらから!

アウトドアが人々の身近にあるコロラド。そんなアウトドアに加えて温泉を楽しめる場所が、デンバーから約3時間西に位置するグレンウッドスプリングスです。
 
コロラド川とローアーフォーク川が流れるこの町は、周辺の銀鉱山で働く人々の宿場や娯楽の町として発展していきました。その発展と温泉に目を付けたのが実業家のIsaac Cooper氏。彼はここに大きな温泉プールとバスハウスを作る計画を進めました。そこにWalter Horace氏の投資家グループが手を貸し、1888年に温泉プールが完成しました。彼は、ここをセレブリティーのための一大リゾートにしようと考え、1993年にプールの隣に「Hotel Colorado」を建設。

The Buckhorn Exchange

Glenwood Springs Lodgeの、2クイーンベッドルーム。

ハンティングを楽しむためにデンバーを頻繁に訪れていたルーズベルト大統領も、毎年グレンウッドスプリングスに足を延ばし、このホテルに滞在。「Hotel Colorado」は当時、“Little White House of the West”と呼ばれ、歴代の大統領が訪れる場所になりました。また、禁酒法時代、Al Caponeを含む多くのギャングやセレブリティーが、ここのホテルで夜な夜な大規模パーティーを開いていたという話も残っています。

 

The Buckhorn Exchange

ロッジからこの橋を渡って街中へ!

「Glenwood Hot Springs Resort」の405フィート×100フィートの巨大プールは、現在、“The World’s Largest Hot Springs Pool”として世界に名を知られています。平均の水温は、約90℉(約32℃)。プールに併設されたアスレチッククラブは、プールと同時にオープンしたバスハウスの建物がそのまま使われています。プールの他に、ウォータースライダーやスプラッシュパッドもあり、子どもから大人まで楽しめる施設です。1986年には、「Hotel Colorado」の隣に「Glenwood Hot Springs Lodge」がオープン。二つのホテルと世界最大の温泉プールが並び、そこから橋を渡るとレストランやバーが並ぶアメリカ版「温泉街」へと続きます。

Glenwood Hot Springs Lodge
☎970-947-2955
401 N. River St., Glenwood Springs
Web: https://www.hotspringspool.com/

02.世界で最も高い場所にあるアミューズメントパーク!

Glenwood Caverns Adventure Park

The Buckhorn Exchange

重力で下る巨大スライド、アルパインコースター。

グレンウッドスプリングスの山の上には、世界でも珍しい山頂のアミューズメントパーク「Glenwood Caverns Adventure Park」があります。長い長いロープウェー(乗り場が地図A)で山頂まで登り、そこから始まるアドベンチャー。マイニング体験や、山を滑り降りるスライドコースター、山頂からの絶景カフェテリアなどが楽しめます。

 

The Buckhorn Exchange

砂の中からGemを探すマイニングコーナー。

一番の見所は鍾乳洞。専門家のガイドによるツアーで、今も水が滴り成長を続ける鍾乳石群を見学できます。ホットスプリングスプールとほぼ同時期の1895年に一般公開された鍾乳洞は、当時の最新技術でライトアップされていました。そして、グレンウッドスプリングスは、ミシシッピ川から西側で、最も早く電気で飾られた町の一つとしても知られるようになりました。

 

The Buckhorn Exchange

アドベンチャーパークまではゴンドラで約5分。

近年は、この町から車で1時間ほどの場所にある世界屈指のスキーリゾート、アスペンの影響を受けて、グレンウッドスプリングスは、“The 7th-richest small town in U.S.”(2015年)にランクされるほど経済的に繁栄しています。

Glenwood Caverns Adventure Park
☎970-945-4228
51000 Two Rivers Plaza Road Glenwood Springs
Web: https://www.glenwoodcaverns.com/

03.Glenwood Canyon Brewpub

The Buckhorn Exchange

コロラドで最も多くの賞を受賞しているクラフトビールレストラン。常に9種類のビール、そして3種類のビール以外のドリンクが楽しめます。ビールを製造している樽やタンクを見ながらの食事が楽しい!

Glenwood Canyon Brewpub
☎970-945-1276
402 7th St., Glenwood Springs
Web: https://www.glenwoodcanyon.com/

04.Glenwood Wings Public Art

The Buckhorn Exchange

パブリックアートの一環として飾られている羽のオブジェ。街中に合計9つのバタフライやエンジェルの羽があり、インスタ映えスポットとして旅行者に人気。写真の羽は、夜、LEDでライトアップされます。

05.Dancing Bear Trading Post

The Buckhorn Exchange

Tシャツやカップ、グラス、コースター、靴下など、何百種類ものコロラドグッズがそろっているショップ。青ベースに黄色と赤い丸のコロラドの州旗をモチーフにしたグッズもたくさん見つかります。

Dancing Bear Trading Post
☎970-230-9102
727 Grand Ave., Glenwood Springs
Web: https://bit.ly/3vWTS1z
取材協力
◉ VISIT GLENWOOD SPRINGS: Glenwood Springs Chamber Resort Association(VisitGlenwood.com
◉ Glenwood Caverns Adventure Park
◉ Glenwood Hot Springs Resort
(ライトハウス・ロサンゼルス版2022年5月16日号掲載)

ライトハウス表紙画像

雑誌をめくるように読みたい方には電子版が便利です!
ライトハウス・ロサンゼルス版
2022年5月16日号
第一特集
「歴史で巡るコロラド。」
P12〜P17

「アメリカを満喫する1週間観光旅行」のコンテンツ